科学の眼差し
臨床家として分子生物学を理解するための入門編です。(「鍼灸柔整新聞」連載)
「真実を見つめる」2005年3月
骨折仮骨中に無髄の神経線維が新たに発芽sprouting し、しかも軟骨細胞の極近傍に出現することは、これまでの骨折仮骨のリモデリングに対する考えを一変させた。
「真実を見つめる」2005年2月
前回述べたように、近年、神経科学が発展し、これまで目にみえなかった痛みも組織学及び分子生物学レベルで可視化されるようになった。そして神経特有に発現されていると思われていた分子が、その他多くの細胞でも合成分泌されていることも解ってきた。柔道整復に関連が深い骨折においても同様である。
「真実を見つめる」2004年10月
柔道整復師はヒトの体に関わる科学者の一人であり、生命現象の理解の基本は分子の世界に置かれるべきである。すべての生命現象が科学的に解き明かされているのではない。しかし、だからといって科学的に解き明かす努力を怠ってはいけない。
「真実を見つめる」2004年7月
コラーゲン分子が集合してコラーゲン線維になる。分子数百本で直径数百 nm の線維ができあがる。結合組織の中では、それらの線維の間を糖鎖などコラーゲン以外の様々な分子が埋めている。それらの構成の違いが組織の特性を生み出してゆく。
「真実を見つめる」 2004年6月
これまで水分子の理解を深めることが生命活動をより理解することにつながることを述べてきた。そして H2O と示す水分子は + と – の極性を2つずつ持ちうる双極子で、正四面体構造を取る立体であることも述べた。今回からは20種のアミノ酸の分子構造と結合の特徴について述べる。
「真実を見つめる」 2004年4月
私達は医療従事者の一員として、医師や他のコ・メディカルスタッフと共に国民の健康に貢献している。私たちを含め医療に従事する人たちは、その為の特別な教育を受けている。学校では基礎医学として解剖学で人体の構造を学び、生理学で生体の営みを学び、病理学で疾病のなんたるかを学んだ。そして専門職としての技術を身につけている。しかし、その知識や技術に近代科学としての裏付け(エビデンス)があるだろうか。