「真実を見つめる」2004年9月
軟骨とはどのような組織であるかを知るとき、糖質 Carbohydrte の理解が基本になる。糖質を一般化学式で表すと Cn(H2O)n になる。糖質の内、それ以上加水分解を受けない糖を単糖類 monosaccharide といい、単糖類は多価アルコール polyhtdric alchol の –OH基が一つ酸化されてアルデヒド基 –CHO、もしくはケト基 >C=O になったものである 1)。麦芽糖 matose) や蔗糖 sucrose は二糖類の一種である。単一多糖類はデンプン starch やグリコーゲン glycogen である。プロテオグリカンPG proteoglycan は、1本のコア蛋白質にGAG(糖鎖)glycosaminoglycan が共有結合した複合糖脂質の一つである(Fig. 1)。
軟骨では、このPGが分子量3500万の巨大凝集体を形成している(Fig. 2)。軟骨にある PGのほとんどはアグリカン aggrecan であり、軟骨のみずみずしさや柔軟性に寄与している。骨のPGは、デコリンあるいはビグリンと呼ばれ、軟骨よりはるかに小さな分子量である。バーシカン versican は線維芽細胞の膜上にあって細胞の移動や形態変化に関与おり、その遺伝子発現が TGF-βや IL-1 で調節されることから創傷治癒や炎症への関与が示唆されている2)。ビグリカン biglycan は骨以外の組織に広く分布し、フィブロモデュリン fibromodulin は、腱や軟骨に、ルミカン lumican は角膜や心房に多い2)。・・・・・以後割愛
参考文献: 遠藤克巳ら: 生化学ガイドブック、南江堂、1990年. 大塚 吉兵衛ら: 医歯薬系学生のためのビジュアル生化学・分子生物学、日本医事新報社 1997年