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「真実を見つめる」2006年1月

我々柔道整復師は外傷に対して保存的治療を行うことから必然的に全ての施術や治療を皮膚上から行うことになる。組織学的にいえば体外からの刺激はどんなものでも、少なくとも、角質細胞層、上皮細胞層、基底膜構造、真皮構造、皮下結合組織構造を経ていることになる。このような組織の中にさまざまな感覚神経、腺組織、自律神経系、脈管系が絡み合っている。このような組織の中で、体外と体内を分ける重要な細胞外基質 ECM; Extracellular matrix が基底膜構造である。 Fig. 1 に基底膜構造をもつ代表的な組織を記す。basal lamina と示されているところに基底膜が存在する。網目のような構造をとるIV 型コラーゲン Type IV col. が重要な働きをもつ。他にも Fibronectin, GAG chain, Tenascin, HA, Lamininなどが、このIV型コラーゲン構造に絡みついている(Fig. 2)。
これら基底膜構造と真皮組織を結合しているのがVII 型コラーゲンであることは、すでにこのシリーズで述べた。上皮細胞や角質細胞は外胚葉由来の細胞であり、基底膜以下の結合組織にある細胞は中胚葉性間葉由来の細胞であることも臨床上重要である。中胚葉性間葉由来の細胞が造る皮下結合組織が損傷してもほぼ元通りの組織に修復されるが、上皮細胞はどんな小さな傷でも少なからず瘢痕を形成する。損傷後の治癒形態も違うこのような組織に対して、我々は温熱治療、電気治療、光線治療などを施している。鍼治療の鍼は体外から皮膚を貫き体内に刺入させる。この時、鍼尖がどのようにこれらの細胞や組織をどのように貫通しているのだろう? 経絡におけるいわゆる「ツボ」に対する形態学上の興味は尽きないが、それ以前に鍼は上皮細胞をどのようにして貫通してくるかについてはもっと興味深い。また温熱や灸の熱により、皮下結合組織はどのように変化するのか、あるいは形態は変化しないのか、これからの研究テーマである。・・・・・以後割愛

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