「真実を見つめる」2006年2月
表皮(外皮)の基底膜構造が如何に薄い構造物であり、しかし、その構造なくして体外と体内の環境を保持することはできないことなどを前回のシリーズで伝えた。もし、表皮基底膜の構成物の内、Type VII collagen が壊れたりすると、そこに水胞が形成させることになることはすでに述べた。そこから我々柔道整復師の仕事に関連付けると、Type VII collagen なくしては、さまざまなテーピングの効果も有り得ないということである。そんな強靭な表皮の基底膜をまるでアメーバのように、免疫提示細胞の一種である間葉由来のランゲルハンス細胞 Langerhans cell は行き来している。
以前、このシリーズの中で、白血球などの血液細胞が血管内皮細胞とやり取りを行って血管の外に出ること、そしてその時、細胞は細胞の形を変えることを述べた。その役割の中心が細胞内骨格である。筋組織は全体が収縮することで強力な力を発揮する。その収縮メカニズムは、Ca++ の放出とATP の加水分解による Myosin と Actin のスライディング作用であることは周知のことである。
Actin monomer と Filament の分子構造については諸説ある。このメカニズムは筋細胞ではない他のすべての細胞(非筋細胞)でもほぼ同様に行われている。Actin fiber は、G actin と呼ばれる球状 globular の分子量42,000 の蛋白質サブユニットのラセン重合体で、その周期は36 nm(回転は半分)である(Fig. 1)(1)。
細胞の構造や運動を支える時、このひも状のActin polymerがバラバラになったり、また互いに集合して束になったりすることで細胞の形が変化できるようになるが、運動器疾患を扱う臨床家にとって、非筋細胞における Actin polymer の重合の様式を知ることは重要である(Fig.2)。・・・・・以後割愛
参考文献: J. Darnell, H. Lodish, D. Baltimore: Molecular Cell Biology 2nd ed. W.H.Freeman and Company. 1990