柔道整復師のための解剖学シリーズ 手関節1
たかが捻挫、されど捻挫・・・という先輩の教えを思い出す関節が手関節です。地球の歴史の中で、ヒトがこの時代まで生き残れた理由のひとつに、この手が自由に使えたことがあることに異論はないと思います。ヒトの手指は、それぞれの関節が非常に繊細に動き、指先には更に繊細な感覚を持ち合わせています。我々柔道整復師は、この重要な機能を持つ捻挫に対して、施術(整復・固定・後療法・生活指導など)を許されています。臨床では、転倒して手を突いた・・・、物を持って手首を捻ったなど、さまざまな原因で手関節の腫脹や疼痛を訴えます。そのような患者さんの中で、X-p 検査ではなにもないと言われたにも関わらず痛みが持続しているので心配して来院されるケースも稀ではないと思います。その時、重要なのが正確で客観的な徒手検査法です。検査法を知っていても、ただこうこうすることで、こういうところに痛みが誘発されればどこどこに損傷があると判断する・・・というレベルでは、手関節の場合、理解が不十分になります。特に舟状骨と月状骨間の靭帯損傷では、その損傷に対する検査法の解剖学的、運動学的正しい理解が要求されます1)。この二つの手根骨の支持性に関わる、掌側の靭帯の存在については前回紹介しました。Scaphoid shift test (Fig. 1) では、月状骨・舟状骨間の手根不安定を診る徒手検査が、解剖学的な何を見ているのでしょうか。・・・・・以後割愛
参考文献: 1) 中村蓼吾編集:整形外科 痛みへのアプローチ3,南山堂 1999. 2) Raoul Tubiana et al.: Examination of the hand and wrist. Martin Dunitz, 1996