柔道整復師のための解剖学シリーズ 手関節2
手関節はヒトにとって、ヒトをヒトたらしめている関節のひとつといってもよいかもしれません。
手関節の障害は、日常のさまざまな活動に支障を与えます。その動きは複雑で巧妙です。この関節は橈骨、尺骨の前腕骨に、8つの小さな手根骨で形成されています。手関節の動きを理解するとき、近位手根列、遠位手根列に分けて捉えることができます。これら8つの骨を体表から、明確に触診できるスキルが、手関節の障害や外傷の診断にとても大切になります。例えば、長拇指伸筋 EHLと短拇指伸筋 EHB、第一中手骨基部 1st Metatarsal、橈骨茎状突起 Radius styloid process 間にできるエリアをSnuff box と呼び、ここに限局性圧痛がある場合、舟状骨骨折 Scaphoid fracture を強く疑うことは周知のことです。しかし、Scaphoid は表面解剖学的には、どのように配置されているでしょう。実は、手関節を橈屈 Radial flexion させた時、橈骨骨軸にほぼ垂直に配置されるのです。これは靭帯構造によるというより、橈骨の手関節面に形成されている舟状骨関節面の形態によるものなのです。手関節屈曲伸展0度であっても、その関係はそんなに変わらないという理解が臨床では必要です。月状骨を背側から触診する時は、遠位橈尺関節の間にあるという理解が求められます。・・・・・以後割愛