2011年「第 5 回麹町セミナー in 日本青年館ホテル」2011年6月19日(日曜日)
久しぶりの麹町セミナー開催に向けて
2011年3月11日 14時46分18秒に起きた「東日本大震災」では,我が国始まって以来,最大の地震災害となりました.政府の対応の歯切れの悪さにはあきれるばかりです.しかし,一般ボランティアの方々の献身的な活動はますます活発になっています.全国の心ある若い柔整師・鍼灸師を含め,多くの医療従事者の方々が現地に駆けつけています.そんな中,麹町セミナーに集う私たちは何ができるでしょうか.現地にいってボランティア活動することも一つの選択肢です.柔整師である私は「災害時に,医療職として国や被災者の方々から信頼される人材になるための努力を今すぐに始めるべき」だと確信しています.私たちは生命現象のことをあまりにも知らなさすぎます.生物としてのヒトの体のことを現代医学(分子生物学を基礎とした)のレベルで教育を受けていないのです.現在の専門学校,大学教育において,国家試験を重視した教育がなされ,たかだか数年の勉強で人を治療できるようになると勘違いする教育を受けています.問題はそこにあります.麹町セミナーでは,このような問題に対する意識を持っておられる方々と一緒に学び続けてゆきたいと願っています.
今回は,はじめに,成長期特発性側彎症にお対する我が国における理解や保健の現状をお話します.Cobb角が進行した例に対する手術法は積極的に研究されていますが,側彎発見から手術までの間の進行予防のついては,ほとんど研究されてはいません.これのような現状も,側彎症に対する我々側の「勉強不足」や「研究不足」が一因になっているように思われます.今回,脊柱側弯に関する基礎医学的研究論文を紹介し,脊柱の機能解剖について再検討します.そして組織学を基にした機能解剖学を中心に組み立てた、麹町で現在行っている治療法や運動療法をビデオで紹介します.日ごろの臨床に役立てていただければと思います.また,バルセロナで開催される「8th Annual Meeting of the SOSORT 2011, International Conference on Conservative Management of Spinal Deformities」 国際学会の内容を一部紹介します.脊柱側弯症に関する我が国の現状について考えるきっかけになればと思っています.
次に,この春,3月20日に「柔道整復基礎医学研究シンポジウム2011 ~科学的視点から得る臨床のブレークスルーを目指して~」が名古屋で行われ,東日本大震災の直後にも関わらず200名を超える医療従事者,医療系教育研究者が集いました.この関心の高さが語ること・・・それは,我々の「職業の存続」に対する危機感だろうと考えられます.今回は,名古屋で行われたシンポジウム2011のシンポジストの先生方の内,お二人に,再度,臨床と基礎研究を結び付けて,わかりやすくお話していただきます.臨床現象を基礎医学的に理解することが,いかに患者さんの症状の科学的説明につながり,また互いの安心につながるか理解していただけるものと確信します.名古屋でのシンポジウムよりも質疑応答の時間をとってありますので,遠慮なく臨床の疑問を投げかけてください.
最後に,結合組織の細胞が外界からの機械的ストレスをどのように受け取り,また機能発現を変えているかについて,インテグリンやTGF-βと細胞内αSMA発現の観点から最近の理解を紹介します.そこから,臨床における触察の違いに表皮や皮下結合組織の変化が,どのように影響しうるかについて分子生物学的考察の可能性についてお伝えします.
ランチタイムには,麹町白石整骨・接骨院で施術した症例を紹介します.昼食をいただきながら気軽な質疑応答を行いたいと願っております.
今回のセミナー参加費の一部を東日本大震災の被災地の方々への義援金として,日本赤十字社に寄付させていただきたいと考えております.ご理解ご協力をお願いいたします.
【期日】2011.6.19.日曜日 10:00~16:30
【場所】日本青年館ホテル 会議室502号室
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町7-1 TEL:03-3401-0101
【内容】
10:00~10:55
白石洋介 Ph. D.・柔道整復師
「特発性脊柱側弯症と運動療法 SOSORT 学会 in バルセロナの報告,運動療法の実際・ビデオ映像」
「大後頭神経三叉神経症候群 GOTS に関する基礎医学研究の紹介
質疑応答 10:55~11:15
11:20~12:00.
森 倫範 柔道整復師(東京医科大大学院 医学研究科博士課程)
「神経伝達物質開口放出過程におけるCa2+ の役割」
質疑応答 12:00~12:20
昼食 ランチミーティング 12:30~13:10
白石洋介
「成人アキレス腱断裂経過報告」
「女児下腿両骨骨折 (スキー骨折)経過報告」
13:20~14:00
安井正佐也 柔道整復師(名古屋大学大学院 医学系研究科所属博士研究)
「骨折の痛みを科学するために」
質疑応答 14:00~14:20
14:25~15:40
白石洋介 帝京平成大学 教授
「臨床における機械的ストレスに対する細胞応答の分子生物学的捉え方,および柔整に関係の深い分子生物学最近のトピックス」
質疑応答 15:40~16:00
最後に
麹町ゼミNPO 立ち上げについて