Schroth Best Practice Academy in Tokyo 2015 (シュロス法脊柱側弯運動療法）講習会終了

2015/05/17 脊柱側弯症の治療 前の記事へ 次の記事へ

日本で初めての、Schroth Best Practice Academyを開催いたしました。

5月2日~6日まで、当院にて側弯症の運動療法として世界で最も効果的とされている
ドイツのシュロス法の最先端、Scoliologic Schroth Best Practice　の講習会が行われました。

講師は Schroth ファミリーの3代目である Dr.Hans Rudolf Weiss。
90年前に Schroth 法を始めた祖母の Katharina　Schroth 、
世界中で翻訳された”The Schroth Scoliosis 3 dimensional treatment ”の著者である母の Christa、そして二人の功績を科学的なエビデンスのある運動療法としてより進化させて Schroth Best Practice　 Scoliologic を開発した世界的な権威である Dr.HR Weiss.
その Dr.Weiss から直接、指導を受けられたことは大変光栄なことでありました。

参加者は、柔道整復師、理学療法士（オーストラリア2名）、医師（インドネシア）、カイロドクター（韓国）と、17名のうち4名が外国人でインターナショナルな講習となりました。
（満員となりお断りしましたが、ウクライナ、ロシア、アメリカなどからの問い合わせもあり、Dr.Weiss への世界的な関心の高さが伺えました。）

前半の A-level では2日間　側弯症の保存療法について（物理療法、装具、その科学的根拠、カーブの分類、識別）を学び、後半の B-level では3日間、患者さんと一緒に実技の研修を重ねました。

患者さんのカーブのパターンを識別し、そのカーブに合わせた姿勢や運動をすること,つまり、左右対称の運動ではない側弯症に特化した運動が必要なのです。

Physiologic exercise
Correction of the Activities of Daily Life
３D-made easy
Power Schroth

と、本来の生理的な姿勢から、日常生活で矯正できる立ち方、座り方、簡単にできる 3D の矯正、そして、より積極的なシュロスの運動療法へと進みました。
自分の体の状態を自分で知ること、その上で、治療に取り組もうという気持ちになることが大切なのです。
意識と努力で側弯症の経過を変えていくことができるのです。

初めは不安気な固い表情だった子供たちが、次第に真剣な顔で運動に取り組み、最後には晴れやかな笑顔で帰って行くのは私たちにとって大変うれしいことでありました。

日本では現在、側弯症は悪くなるものは悪くなる、姿勢に気を付けても変わらない、運動療法は無効であり、治療法は　1.経過観察（という名の放置）　2.装具（主に現状維持を目的とする）　3.手術　だけだといわれています。
しかし、Schroth法を筆頭に世界ではいくつもの運動療法が成果をあげ、その有効性を示す医学論文が出されているのです。
勿論、すべての側弯症が運動療法だけでよくなるとは言えません。装具が必要なこともありますし、それでも進んでしまうこともあります。
しかし、早期発見されて経過観察と言われた子供を翌年の検査までただ放っておく間に、改善を目的として運動療法をやらせてみるべきではないでしょうか？
安易に手術に走る前に、何の副作用もない運動療法を、まず試してみるべきではないでしょうか？

これまでの当院の運動指導でも手術を回避できたお子さんは何例もありますが、今後 Scoliologic を導入することでより一層の効果が期待されます。

今回講習を見学していたご両親から、見る間に背中が変わってきた！と驚きの声があがりました。
例えば、カーブを反対側までもっていくオーバーコレクション、こういう積極的な意識が高い効果をあげていくのです。

長期の調査では思春期特発性側弯症では手術をするより、しないほうが良いというエビデンスが認められています。（The Cochrane review）

また、中高年の方の側弯症、後弯症にもシュロス法は有効です。
年だから仕方ない、と諦める前にまずやってみることをお勧めします。

今回、石原、白石、森、が Schroth Best Practice Therapist　として認定されました。今後、当院では定期的に　シュロス法の運動療法を行っていきます。
お問い合わせは　石原まで。

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