Pattern of gene expression in a rabbit partial anterior cruciate ligament transection.
膝 ACL 断裂の際、靱帯のそこの組織が修復に重要な役割を担っているかについて、2009年の論文を紹介します。
紹介者 白石洋介 2009年12月11日
ニュージーランドホワイトラビットを使った部分的または完全な膝 ACL の外科的切断の実験において、1week で、MMP-13 と α-SMA の上昇がみられ、6weeks で、α-SMA, コラーゲンタイプ I, III が発現することが報告されています。このようなことが、靭帯損傷後の変化が代謝や分解に関わっているかもしれないことが述べられています。この実験の興味深いところは、ACL の Antero-medial bundle の切開群は、ACL の完全断裂の遺伝子発現と似るが、Postero-lateral bundle の切開は、シャム処置コントロール群の遺伝子発現に似ていることが示されている点です。コラーゲンの発現を比較すると、前内方組織:後外方組織で、5:2程の差があるようです。この結果は ACL の機能的再建には、前内方にある線維性の組織が需要であることを示唆しているといえます。実際、ヒトの臨床では、スポーツ復帰を目的としない場合、外科的な処置をしなくてもよいことが知られてきています。ACL 完全断裂でも膝屈曲30度で固定することで、ADL に支障なく癒合することが分かったからです。保存療法においては、ACL 前内方組織に注目して工夫することが大切なのかもしれません。