Contractile behavior of smooth muscle actin-containing osteoblasts in collagen-GAG matrices in vivo: implant-related cell contraction
1)2009年10月論文紹介(紹介者:白石洋介)
Title:
Contractile behavior of smooth muscle actin-containing osteoblasts in collagen-GAG matrices in vivo: implant-related cell contraction.
Authors;
Menard C. Mitchell S, Spector M.
2000年の論文で、米国ハーバード医科大学の、整形外科病院からの論文です。インプラントに関連して生じる細胞収縮について、 in vivo で観察した論文で、Col-GAG 基質上でSMA を含むオステオブラストの収縮挙動について報告しています。結合組織細胞の収縮は、結合組織内の細胞の発現や細胞外基質の維持を促進し、創を閉じさせるという点で治癒を促進させます。しかし、多すぎる(強すぎる)細胞収縮は、結果として、病的な収縮を作ってしまいます。インプラントは、この過程を刺激し、インプラント周囲の線維性カプセルの収縮を引き起こしているかもしれません。細胞工学を用いた多孔性基質の例において、組織収縮は孔の収縮とインプラントのひずみを引き起こすようです。
この研究の目的は、もしもオステオブラストが αSMA を発現したら、これらの収縮を与えるかどうかということです。免疫組織化学で3体のヒトと3つの犬の骨髄検体において、いくつかの細胞にαSMAの発現が観察されました。また、オステオブラストセルライン(MC 3T3-E1)でも、2次元培養においてと、コラーゲンーGAG 基質に播いた細胞でもアクチンアイソフォームを発現しました。そして、これらαSMA陽性細胞は、ECM としてのコラーゲンGAG基質の収縮を引き起こしていることがわかりました。
このような所見は、オステオブラストが収縮能を示すことを明らかにしています。この結果はαSMA陽性のオステオブラストが骨基質に対して、インプラントを持ち込むことによる様々な問題のメカニズムを明らかにすることでしょう。それは、インプラントを骨基質の相対する面のことも含まれています。また、この過程を理解することで、骨組織工学による基質開発の発展も導き、吸収性のインプラント骨基質の工学的開発の進歩に役立つことが期待されます。